暖かくなってくると気をつけなければいけないのが犬の脱水症状。
真夏や屋外に限らず、高温な環境下では
体温調節が苦手な犬たちは
気づかないうちに脱水状態になっていることもあります。
脱水症状は場合によっては命に関わることもあります。
特に体力が衰え、水分摂取量も減ってくる
シニア期以降はとくに注意が必要です。
人間の脱水症状対策なアイテムと言えば
経口補水液やスポーツドリンクですが、
犬の脱水症状を予防するうえでも
これらは役立つのでしょうか?
犬に経口補水液やスポーツドリンクを与えて脱水予防してもいいの?
脱水時に必要なのは迅速な水分補給
犬が脱水傾向にある場合、
迅速に水分補給を行うことが大切です。
脱水状態かどうかのチェックポイントは以下の通り
- 背中や首の皮膚をつまんでも、たるみがなかなか元に戻らない
- 口内が粘ついている
- 足元がふらつく
- 元気がない
- 食欲がない
- 目がくぼんで見える
- 嘔吐・下痢が見られる
- 血便が出る
脱水症状には水分補給で対応する必要がありますが、
目に見えて元気がない(弱っている)様子なら
すぐに医師に相談しましょう。
自宅での水分補給で対応する場合は、
何かしらの水分を与える必要があるのですが
人間の脱水時の水分補給で一般的なのは
経口補水液(ORS)やスポーツ飲料などですよね。
これらは水に比べて効率的に
水分を補給できるすぐれものです。
経口補水液とスポーツ飲料の違いとは?
犬に経口補水液やスポーツドリンクを与えていいのか?
というお話の前に、
それぞれの特性を理解しておきましょう。
まず経口補水液(ORS)というのは、
人間(生き物)が効率的に水分摂取するために
浸透圧を調整した飲み物です。
水と比較して体内水分吸収率は約25倍なんだそうです。
基本的には水+塩分+少量の糖分が含まれます。
一方のスポーツドリンクは電解質(塩分)を含む清涼飲料水です。
補水を第一目的とした経口補水液よりも
電解質の割合が低めで、
飲みやすさを優先させているため糖分が高いのが特徴です。
経口補水液より吸水効率が劣るとはいえ、
水よりも効率的に水分補給が可能です。
犬に経口補水液(ORS)を与えても大丈夫!でも与えすぎ注意
犬に経口補水液を与えてもいいのかどうかですが、
結論からいいますとOKです。
人間用のOS-1などの商品を与えるのも大丈夫です。
ただし甘味料にキシリトールが含まれているものはNGです。
犬にとって中毒症状を起こすリスクがあります。
経口補水液は非常に水分吸水効率が高いので
与えすぎないように注意しましょう。
ちなみにOS-1の摂取目安(人間の場合)は以下の通り。
学童〜成人 (高齢者含む) | 500〜1000mL(g)/日 |
---|---|
幼児 | 300〜600mL(g)/日 |
乳児 | 体重1kgあたり30〜50mL(g)/日 |
参考:https://www.os-1.jp/faq/12/
この基準を犬に当てはめると
小型犬が乳児程度、
中型犬が幼児程度、
大型犬が学童(最低量)程度です。
しかしそのままではしょっぱいので
原液を2~3倍に薄めると飲みやすくなるかもしれません。
また、犬に飲ませる際には
一度にたくさん与えるのではなく
少しずつ時間をかけて、体調を見ながら与えましょう。
人間用経口補水液が心配なら手作りや犬用も
人間用の経口補水液を愛犬に与えることに
抵抗を感じる方もいらっしゃると思います。
そんな場合は自作も可能です。
<手作り経口補水液レシピ>
水(水道水か白湯) 1L
砂糖(ブドウ糖が望ましい) 40g
食塩 3g
手作りですと材料が極限までシンプルになるので
その日中に消費する必要がありますが、
無駄なものが入っていないぶん安心です。
水はミネラル分が少ない水または白湯が、
糖分は調理用のものより分解しやすいブドウ糖がおすすめです。
手作りの経口補水液は手間だ、
分量を間違えるのが怖いなどという場合は
わんちゃん用の経口補水液もあります。
パウダータイプの経口補水液なら場所も取らず、
必要なときにサッと溶かすだけでお手軽です。
嚥下力の低下してきた高齢のわんちゃんは
くず粉や片栗粉でとろみを付けたものを与えると安全ですよ。
犬にスポーツドリンクを与えても大丈夫!でも糖分に注意
犬にスポーツドリンクを与えてもいいかについてですが
こちらも与えても大丈夫です。
ただしこちらも甘味料にキシリトールが含まれないもの限定です。
スポーツドリンクは経口補水液と比べ、
糖分が高い点は要注意です。
糖分の過剰摂取はまた別の問題を引き起こしますので
人間用のスポーツドリンクを犬に与える場合は、
水で3倍程度に薄めてあげるのが望ましいです。
(赤ちゃん用のイオン水なら2倍程度)
脱水時には糖分が少なく、吸収率のいい
経口補水液の方をおすすめしますが、
味が気に入らずに飲まないわんちゃんもいるため
好んで飲んでくれる方を飲ませるといいかなと思います。
(毎日大量に飲ませるものではないですしね)
人間用のスポーツ飲料が不安なら犬用もあります
スポーツドリンクにも犬用があります。
その名も「ペットスエット」
ポカリスエットのパクリ感満載のネーミングですが
安心してください。
製造元はあのポカリスエットと同じ
大塚グループなんです。
ペットスエットは
人間用に比べるとお値段は高めですが、
ペット専用なのでそのまま与えることができます。
(といっても甘みはしっかりついているので
気になるなら薄めても大丈夫です)
嚥下力の落ちた高齢のわんちゃんには
同じくペットスウェットのゼリータイプが飲み込みやすくておすすめです。
水分を適量摂取することは脱水症状の予防だけでなく
肌や体内組織の調子を整える意味でも重要です。
⇒老化で犬の鼻が乾燥!ひび割れにオススメの保湿対策は?
とくに老化が始まったわんちゃんは
水分摂取が疎かになりがちですから
上記のようなアイテムを利用して
少量でも効率的に水分を補える工夫をするといいですね。
ただしとりわけ高齢犬の場合は
個々の体調によって与えても大丈夫な量が変わりますから
医師のアドバイスに従うことをおすすめします。