高齢の老犬の健康維持にとって
水分補給が重要と言われています。
動物にとって水分が大事なのはもっともですが
あなたは犬が年齢とともに水分を必要とする
本当の理由をご存知ですか?
水分が足りなくなると脱水症状になる?
尿の量が少なくなる?
それらも確かに正しいし重要な理由です。
しかし、水分はそれだけではなく
様々な面で高齢犬の健康を支えているんです。
目次
高齢犬(老犬)の水分補給が重要と言われている理由とは?
犬が摂取すべき水分量は一日どのくらい?
犬にとって必要な一日あたりの水分補給量は
諸説あるのですが
「体重(kg)の0.75乗×132」だとか、
「一日に必要なエネルギー要求量を”ml”に置き換えた量」
などと言われています。
例えば体重3kg程度の小型犬であれば
200ml弱~300mlあたりとなります。
(100ml/体重1kgあたり以上だと多すぎ)
しかし、老犬の場合は喉の渇きに鈍感になるため
水分が多く不足してしまう場合があります。
犬の水分不足が引き起こす恐ろしい症状
体内の水分が不足してしまうと
脱水状態となり、
様々な健康被害を引き起こしてしまいます。
- 尿結石・膀胱炎・腎臓病などにかかりやすくなる
- 代謝が低下する
- 便秘になる
- 唾液不足で食べ物を嚥下しづらくなり食事量が減る
- 体温調節機能が低下する
- 口腔内の雑菌が増える
- 重度の脱水状態に陥ると死にいたることも
私たち人間が水分がないと生きられないように、
犬たちも水分不足に陥ると上記のような
多くの弊害が発生してしまうんです。
ちなみに体の水分15%が失われると
重度の脱水症状となり、
命を脅かすと言われています。
高齢のわんちゃんは一般的に
水分不足の場合が多いので、
水分補給は愛犬任せにせず、
飼い主さんが主導となって行いましょう。
愛犬の脱水状態を見分ける方法
脱水状態はある程度であれば目視でも見分けられます。
まずひとつ目のポイントが尿。
健康な尿は薄黄色をしていますが
脱水状態の犬の尿は量が少なく、
濃い黄色をしています。
また脱水状態になると、
目や口腔内が乾燥します。
さらに詳しく脱水状態を調べるために有効なのが
毎日決まった時間の体重測定です。
例えば体重3kgの犬が1%の水分を失うと
体重は0.03kg減ります。
この程度のわずかな体重の増減では
気づきにくいかもしれませんが
5%の水分を失うと体重は2.8kgに減り、
10%だと体重2.6kgまで減ってしまいます。
このようにある程度以上の脱水状態だと
気づきやすいですよね。
体重測定は食後を避けて行うのがポイントです。
また仮に脱水症状が起きている場合でも
一度に大量の水分を与えると体に負担をかけるので
少量ずつ与えるように注意してください。
喉が乾かないだけじゃない?高齢犬が水を飲みたがらない理由って?
老犬の場合、喉の乾きに鈍感になるだけでなく、
水を飲まない他の理由もあるのかもしれません。
今一度、あなたの愛犬の飲水方法を
見直してみませんか?
体が老いると首をかがめて水を飲むことが
痛かったりつらかったりする場合があるので、
台の上など首に負担をかけない位置に容器を置いてみましょう。
また、老化とともに
不快な感覚にストレスが溜まりやすくなるので
水入れ容器を、ヒゲが当たらない浅めの皿に変えたり
プラスチック容器から陶器製のものに変えたりなど
いろいろと試してみて愛犬が好む方法を
探ってみるのもいいかもしれません。
トイレ付近での飲水も好まないワンちゃんが多いので
トイレから離れた静かな場所に水飲み場を設けましょう。
そして、気分を上げてあげるのもポイント。
水を飲む行為そのものが億劫になっている
ワンちゃんの場合は
飲水タイム=楽しい時間と思わせるのも有効です。
具体的には水を飲む前後に
マッサージなどスキンシップタイムを設けると
気分が上がって水を飲んでくれる場合があります。
高齢犬が好むオススメの水分補給方法
水を与える環境を改善しても
あまり水を飲んでくれないワンちゃんには、
以下の方法が有効かもしれません。
水から白湯へ
普通の飲用水を、
白湯を冷ました温めの水に変えると
口当たりがまろやかになるためか
喜んで飲んでくれる場合があります。
水を出汁で風味付け
ペット用の煮干しや鰹節を煮出しただし汁や、
肉のや野菜の茹で汁は
水に風味がつくため嗜好性が高まります。
水以外の飲み物を飲ませる(犬用ミルク・経口補水液等)
そもそも水を好まないワンちゃんの場合は
味のあるドリンクで代用するのも手です。
オススメは犬用ミルクや犬用経口補水液(イオンウォーター)などです。
牛乳は犬の消化器官に負担をかけてしまいますが
犬用であれば大丈夫。
最近では老齢犬専用のミルクで
年齢に合わせた栄養補給ができますよ。
また水分吸収率重視であれば
犬用の経口補水ドリンクや
ペットスエットなどの飲料水がおすすめです。
⇒犬の脱水症状対策に経口補水液やスポーツ飲料を与えて大丈夫?
ただし水以外の飲み物を与えるさいには
念のため獣医師に相談することをおすすめします。
体質や体調によっては
与えないほうがいい場合もありますからね。
いつもの食事にひと工夫で水分量アップ
ドライフードの水分含有量はわずか10%程度ですが
ごはんの水分量を増やせば
効率的に水分摂取ができます。
最も手軽な方法は
ドライフードをお湯でふやかすこと。
お湯で温まることにより香りも立つので
食欲増加効果もあります。
お湯を肉などの出汁に置き換えると
栄養価も嗜好性もさらにアップしますね。
また、ドッグフードのトッピングに
トマトや茹でたキャベツや人参、りんごなど
水分量の多い野菜やフルーツを加えるのもおすすめです。
ドライフード自体をあまり好まなくなった
という場合であれば、
ウェットフードに切り替えた方がいいかもしれません。
ただし水分量が多いフードには
食べかすが残りやすいというデメリットもあります。
せっかく水分を摂取できるようになっても
口腔内の雑菌が増えて歯周病が悪化しては
元も子もありませんよね。
水分多めのご飯のあとは
お口のケアを怠らないようにしましょう。
高齢犬の水分補給は量よりも効率を重視して
高齢犬が若年の頃と同じように
一度にたくさんの水を飲むことはできません。
老齢期の水分補給は
一度に与える量よりも、
一日に与える回数に重点を置きましょう。
少しずつでもいいので
こまめに水分を与えるほうが
愛犬の体に負担をかけません。
また、最も水分吸収率がいいのは
空腹時だと言われています。
食後一時間程度経過した頃に
水分を与えると代謝がアップすると言う
獣医師もいます。
こういった時間に意識して
水分を与えるのもいいですね。
自力での水分補給が難しい老犬の場合はどうするの?
嚥下力が低下し、自力で水分を飲めない
老齢犬の場合は、
シリンジのような器具を利用して
口内に直接水分を与えてください。
そして誤嚥防止のためにも
少量ずつ与えるよう心がけましょう。
この際もスキンシップや声掛けを行うと
愛犬が安心して飲水できます。